最近よく耳にする、「自律神経を整える」というワード。
「気温や気圧の変化が激しい春の時期は、自律神経が乱れやすいため気をつけましょうね。」
という事はよく言われますし、
「ストレスの多い現代社会では、
“交感神経が過剰に働きすぎている人”
が急増しているので、副交感神経の働きも高め、2つの神経の働きがどちらも高く、ちょうど良いバランスで釣り合いがとれていることが理想的です。」
という説明も毎度お馴染みになりつつあります。
わたしたちにとって、
自律神経がいかに大切な神経であるかは、すでにご存じのとおりでしょう。
当院にも、自律神経の乱れが気になるというお悩みは本当に多く、
夜の寝つきが悪い
食欲不振
悪夢を見る
朝の変な時間の目覚め
体のだるさ
疲れやすい
肩がこる
といった日常生活に関するものから、
頭痛、不眠、めまい、胃腸不良、喉のつまり
という症状まで多岐に渡ります。
そして、そのようなお悩みの方のお身体に触れると、ほとんどの方に首と後頭部にコリや詰まりを感じます。
お一人お一人の症状に併せて指圧マッサージと鍼灸の施術ポイントは変わりますが、
ご自身でも是非行っていただきたい場所があるのでお伝えいたします。
それが、
「後頭部三角ポイント」です。
なぜここがおすすめかという理由が2点あり、説明したいのですが、
とりあえず場所と方法を説明しますね。
なぜ?
も気になる方は長いですが文の最後までお付き合いください。
ちょうど目のラインの後ろ側、後頭部のあたりに指4本を押し込み、頭皮を動かす感じに細かく左右に揺らします。図の黄色の三角の辺りを少しずつ場所を変えながらマッサージします。
首ではなく、もっと上の後頭骨の部分です。後頭骨と深部筋である後頭下筋群の付着部を剥がすようなイメージです。
この後頭骨のサイドから大切な神経が出てくるため、硬さを取り、循環をよくしておくことが大切です。
さて、ここからは、なぜ大切なのかを解説しますね。
①迷走神経と自律神経の関係
脳と身体それぞれの器官との間には、
神経による情報伝達と、血液を介したホルモンによる情報伝達が行われています。
その脳神経の一つに迷走神経があります。
迷走神経は、脳幹から結腸までつづく、人体の中で最も長く、最も複雑な副交感神経系の一部です。
長くて複雑なので迷走神経という名前がついています。
最近よく聞く脳と腸の情報交換「脳腸相関」に深く関わる神経で、
メンタルヘルスとの密接な関係が明らかになってきました。
呼吸、心拍数、消化、免疫反応、抗炎症反応など、身体の機能の多くを調節する役割を担っており、
活性化しておくとストレスや不安をやわらげ、心拍数を低下させ、穏やかでリラックスした気分を促進させます。
長い間、
こころは脳によってつくられると考えられてきました。
しかし、こころの動きは脳だけでなく、
様々な内臓の状態にも影響を受け、中でも、身体を走行する迷走神経が重要だという生理メカニズムがようやくわかってきました。
東北大学と東京大学大学の研究グループによる発表(Nature Communicationsに掲載)
迷走神経は情動を形成するための脳活動と連動する ―… | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
迷走神経は後頭骨横の孔から出て首を通り、
内臓へと繋がっていくため、
出はじめの後頭下筋群の循環を良くして、神経の通りをスムーズにしておく事がとても大切なわけです。
また、ストレスにより迷走神経の機能が低下すると、表情筋が硬くなりますが、
逆に表情筋が硬くなっていると迷走神経も働きにくいと考えられるため、
前頭筋や頬骨まわりの筋肉をほぐしてあげることも大切です。
②脳脊髄液と自律神経の関係
背骨は、上から頸椎、胸椎、腰椎、仙骨と繋がり、
頭蓋骨と頸椎をつなぐ「後頭骨」から、おしりの真ん中「仙骨」までを「脳脊髄液」がポンプのような動きで流れていて、上下を循環しています。
脳脊髄液は神経の中にあるゴミをお掃除したり、傷ついた部分を修復するので自律神経に必要とも言われています。
頭蓋骨と骨盤がなめらかに動くことにより、脳脊髄液がスムーズに流れ、自律神経を整えます。
また、
血液やリンパ液が正常に循環し、免疫を保ったり、老廃物を排出してカラダの調子を整えてくれるのです。
脳と身体を繋ぐ後頭部と首は、常に緊張なく、詰まりなく保つことが大切だということが伝わっていると嬉しいです。
是非、おすすめポイントをご自宅でも緩めてあげてくださいね。
この後頭骨三角点以外にも自律神経調整には大切なポイントがたくさんあります。
是非お気軽にご相談くださいませ。