ある日、
急に耳が聞こえなくなったり、聞こえにくくなると同時に、
耳鳴りや耳閉感、めまいなどを起こす突発性難聴。
加齢による聴覚機能の低下によって発症する老人性難聴とは異なり、突然聴力が落ちるのが特徴で、
最近は30代から40代の働き盛りの世代や、若者にも症状が増えています。
過労、睡眠不足、ストレスなど、心身の疲労が引き金になっているケースも数多くありますが、
はっきりとした原因は、いまだ不明です。
しかし現時点では、耳の奥にある内耳の血流障害が有力視されています。
内耳にある蝸牛という器官は、外部からの音を電気信号に変えて聴神経に伝える役割を持ちますが、
蝸牛の血流が悪くなると、音を感じ取る有毛細胞に酸素が行き渡らなくなり障害を受け、その結果、難聴が引き起こされると考えられています。
早期発見し、早く治療を始めれば始めるほど、回復する可能性が高まるので、
ご自身やあなたの大切な方にこのような症状があれば、いますぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
(突発性難聴の他に、内耳が水腫を起こしてめまいや耳鳴り、難聴が起こるメニエール病、
内耳窓という膜が破れてリンパ液が漏れだし難聴が起こる外リンパ廔、
平衡バランスを司る前庭神経に腫瘍ができ神経を圧迫して難聴をきたす聴神経腫瘍など、
難聴といってもさまざまな原因があるので、まず第一選択として耳鼻咽喉科の受診が必要です。)
(耳鼻科での主な治療は、内服と点滴の薬物治療になるかと思われます。
ステロイド剤、抹消血管拡張剤、リンパの流れをよくする循環改善薬、ビタミン剤などを組み合わせて集中的に投与する方法が一般的です。)
そして、耳鼻咽喉科での治療と平行して、早期回復のためにできることが鍼灸マッサージ師による治療です。
当院でも、服薬と同時並行で治療を行い改善した例も数多いです。
以下は患者Aさんの治療例となります。
院受診の前日に、珍しくひどい頭痛、
それに伴い耳が詰まったような感じがして耳の中でトンネルの中にいるようなゴゴゴー、シャーといった音が鳴っているとのこと。
せっかく来院してくださいましたが、鍼灸治療よりも先に耳鼻科に行ったほうが良いと考え、治療はせずその足で近くの耳鼻科受診を勧めました。
耳鼻科受診の結果、片耳の聴力がやはり落ちているとのことで、
プレドニン(ステロイド薬)、アデホスコーワ(血管拡張、血流改善薬)、イソバイドシロップ(耳の内リンパ圧降下、利尿作用)
メチコバール(末梢神経障害薬)、レパミシド(胃腸薬)を処方されました。
少しでも早期回復することを期待し、鍼灸治療の併用を希望されたので、
内耳の循環障害改善のための耳周囲(胸鎖乳突筋や僧帽筋、側頭筋など)の筋肉の緊張をほぐすマッサージと鍼とお灸、
頭皮鍼と頭皮マッサージ、
全身の血流と水分代謝をよくするツボを使用した鍼とお灸、
微弱電流治療器アキュスコープ、
自宅でも貼ったままにできる置鍼治療、
を組み合わせた全身治療を集中的に継続した治療を行った結果、Aさんの場合は約1週間で聴力が元通りになりました。
難聴の治療でまず大切なことは耳鼻咽喉科の受診と治療ですが、
治療をはじめたタイミング、症状の軽さ重さにより、どれ位症状が回復するかは未知数で、
西洋医学の力を使ってさえも難しいのが現状です。
しかし、少しでも聴力を回復させるために、鍼灸マッサージ治療を併用することも、
選択肢の一つとして試してみる価値があると実感しております。
是非ご検討くださいませ。