朝晩の冷え込みが強くなり、
「寝違えました」「ぎっくり首になったかも!」という患者さんが、この10日ほどの間多かったです。
首まわりが固まると、頭痛やめまい、肩こりが増す感じもあり、
つい“首そのもの”を揉みたくなりますよね。
ですが、
実は首というのは、思っている以上にデリケートで複雑な部位なんです。
◆ 首は「頭と身体をつなぐ通り道」
首は、頭の重み(約5キロ!)を支えながら、
神経・血管・筋肉・骨格・自律神経が密集している、とても繊細な場所です。
力任せに強く押すと、血管や神経にストレスがかかり、
急に血圧が下がってしまったり、筋肉が防御反応で逆に固くなってしまうこともあります。
「気持ちいいから」といって、強く押しすぎるのは控えてくださいね。
◆ 首がつらい=首だけが悪いとは限らない
首は、身体全体のバランスを取る“最終調整役”のような存在です。
つまり、首のこりや痛みは、他の部位の不調をかばっている結果であることが多いのです。
たとえば、足裏や骨盤、肋骨、背骨などの動きが固まると、
重心のバランスを取るために頭の位置が微妙にズレ、
そのズレを調整するために首の筋肉が頑張りすぎてしまいます。
特に、胸郭(胸まわり)が動かない人ほど、呼吸のたびに首の筋肉で補おうとするため、
首が常に“呼吸筋化”してしまうのです。
だからこそ、足・骨盤・胸郭の動きを整えて、首の仕事を減らしてあげることが、根本的な改善につながります。
首の緊張を取るには、
「首が頑張らなくて済む環境をつくる」ことが大切です。
◆ 鍼灸でのアプローチ 〜他のケアとの違い〜
鍼の大きなメリットは、筋肉や神経を傷つけずに、深部のコリや癒着へ直接アプローチできることです。
マッサージでは届きにくい深い層の緊張や血流の滞りを、やさしく整えることができます。
首に直接鍼をしても、筋肉を痛めることなく安全にケアできるのが特長です。
また、鍼の刺激は自律神経にも働きかけ、
呼吸や血流、内臓の働きを穏やかに整えてくれます。
その結果、「首が頑張らなくてもいい身体の環境」をつくることができるのです。
(私達はあん摩マッサージ指圧師でもあるため、首の施術として、鍼だけでなくマッサージも行いますが、注意を払いながら施術しております。ご安心ください。)
◆ おわりに
首のつらさは、首だけを治療してもなかなか解消しません。
全身のつながりを見ながら整えていくことで、首は自然とゆるみ、本来のしなやかさを取り戻します。
冷え込みの強いこの季節、
「最近、首がいつも重たい」「寝違いを繰り返す」という方は、
どうぞ一度ご相談ください。