「湿気が身体に溜まる」とは?東洋医学と西洋医学の視点から
梅雨時期や夏の湿度が高い日、
「なんだか身体が重だるい」
「むくみやすい」
「関節が痛む」などの不調を感じる方が増えてきます。
「湿気が身体をまとってるわ〜」
「湿気を吸収しちゃって身体が重たいねん」
とおっしゃる患者さんも多いです。
そもそも、
「湿気って吸収されるものなん?」
という素朴な疑問がでてきますよね。
「湿気」、つまり空気中の水蒸気が 皮膚から体内に経皮吸収されるかという質問については、
基本的には 「いいえ」です。
経皮吸収とは、
皮膚を通じて物質(主に薬剤など)が体内に取り込まれる現象です。皮膚は外界からのバリアとして非常に優れており、水分や微生物、有害物質などの侵入を防ぐ役割をしています。
湿気は皮膚に触れても、
皮膚の一番外側の層に多少の水分を与えることはあっても、体内に取り込まれることはありません。
つまり、
皮膚から「湿気を吸って水分補給をする」ということは生理的には起こりません。
それを踏まえた上で、話を進めますね。
東洋医学における「湿」の正体
東洋医学では、
自然界の気候と身体の状態を密接に関係づけて考えます。
中でも「湿(しつ)」は、体に悪影響を与える「邪気(じゃき)」の一つとされ、
特に梅雨や夏の高湿度時に体内に入り込みやすいと考えられています。
湿気は、「重く、粘り気があり、停滞しやすい」性質を持っているため、
体内に入ると次のような症状を引き起こします。
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身体が重だるい
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むくみが出る
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胃腸の調子が悪い
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頭がぼーっとする
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関節や筋肉が痛む
特に消化吸収をつかさどる臓器(東洋医学では脾と呼びます)が湿に弱いため、
食欲不振や下痢、体が重いといった症状が出やすくなります。
また、湿は下半身に溜まりやすいため、脚のむくみや下半身の重だるさとして現れることも多いです。
西洋医学から見た「湿」の正体は?
一方で、西洋医学には「湿が溜まる」という考え方はありませんが、
それに近い概念はあります。
例えば、「むくみ(浮腫)」や「水分代謝の異常」といった症状は、
体内の水分バランスが崩れることで起こります。
原因としては以下のようなものが考えられます。
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心臓・腎臓・肝臓などの臓器の機能低下
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血行不良やリンパの流れの滞り
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長時間の同じ姿勢や運動不足
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自律神経の乱れによる調整機能の低下
また、
梅雨時期などの気圧や湿度の変化が体調に影響を与える「気象病」も、
頭痛やだるさ、めまいの原因となることがあります。
これらは、東洋医学の「湿邪」による不調とよく似ています。
湿気による不調には鍼灸や指圧マッサージが効果的
鍼灸や指圧マッサージでは、
東洋医学の観点から「気・血・水」の流れを整え、体内に停滞した湿を排出するための施術を行います。
特に「脾胃を補うツボ」や「水分代謝を促すツボ」へのアプローチが有効です。
また、
マッサージで筋肉やリンパの流れを促進することで、むくみやだるさの解消にもつながります。湿気の多い季節には、体の巡りを整えるケアを意識的に取り入れることが大切です。
台湾式足つぼ反射区療法から見る「湿」
台湾式反射区療法では、足の裏に全身の臓器とつながる「反射区」があるとされ、
そこを刺激することで体内のバランスを整えることができます。
「湿」がたまりやすいとされる
腎臓、膀胱、脾臓、胃腸の反射区を刺激することで、
体内の水分代謝を高め、余分な湿を排出する助けになります。
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腎臓・膀胱の反射区 → 体内の水分のろ過・排出をサポート
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脾・胃の反射区 → 消化吸収の力を高め、内湿の発生を抑える
足裏からの刺激は、体の深部にまで働きかけるため、
「なんとなくだるい」
「水がたまっている気がする」
といった曖昧な不調にも効果的です。
まとめ
「湿気が身体に溜まる」というのは、東洋医学では重要な体調不良のサインです。
西洋医学的にも、水分代謝の滞りや自律神経の乱れとして説明できます。
鍼灸や足つぼ反射区療法で体の巡りを整え、余分な湿を外に出すことで、軽やかな身体を取り戻しましょう。
季節の変わり目には、ぜひ定期的なケアをおすすめします。