コリのある場所が硬くなるのはどうして?

「凝っている場所が硬くなるのはなぜですか?」

 

という質問を患者さんからよく受けます。

 

「腰からおしり、もも裏まで、ひきつれた感じがします。」

「背中に鉄板が入っているみたいなんです。」

「良い姿勢でいなきゃとは思うけど、辛くてつい猫背に戻ってしまいます。」

「そこそこ!めちゃくちゃ硬くないですか?」

 

 

このような会話もよくします。

 

今回は、これらのなぜ?について、

 

身体の構造の一部である

「筋膜」のつながりで考えると

ヒントが沢山得られるので、

解説していきたいと思います。

 

「筋膜とは?」

 

筋膜リリース、筋膜はがし、

といった言葉をよく目にするようになり、

フォームローラーやマッサージガンなど、

筋膜ケアグッズの種類も最近は増えました。

 

しかし、「筋肉」と「筋膜」

 

1文字しか違わないけれど、

何が違うのでしょうか?

 

身体を支えているのは何?と聞かれると、

 

「骨と筋肉!」と答える方が多いと思いますが、筋膜も身体の支持に寄与しています。

 

以前は、筋肉の性質を調べる際、

 

周りの筋膜は余計なものとして取り除いていましたが、

 

筋膜には、

力を蓄えたり、

伝えたり、

身体の情報をキャッチするセンサーがある事が判明し、

現在では、筋肉と筋膜をセットで捉える事が身体の機能を知る上で大切と考えられるようになりました。

 

筋膜といっても実は色々なタイプに分かれています。

 

1.みなさんがよくイメージする筋膜である「繊維束膜」。

 

骨格を作る骨、筋肉、血管、神経、内蔵、脳、一つ一つをラッピングしている筋膜です。

 

2. 皮膚の下に、頭の先から爪先まですっぽり覆う「浅筋膜と深筋膜」。

 

スピードスケートのボディスーツを皮膚の下に2枚着ていると想像してください。

 

3. 腰背部の胸腰筋膜や膝の腸脛靱帯など、

収縮能力を持ち、

関節の動きや安定性を筋肉と密に連携してサポートする筋膜「連結膜」。

足裏のアーチを支え、

筋肉に力を伝える足底筋膜もこの仲間です。

 

他にも沢山種類があります。

 

 

筋膜は単なる膜ではなく、

身体の情報を脳に伝えるセンサーをもつ

「賢い膜」であり、

倒れないように姿勢を保てるのも、

身体がバラバラにならずに決まったポジションで働けるのも、

筋膜のおかげなのです。

 

 

「なぜ身体は硬くなるのか」

 

日本人の不調のトップ2は肩こりと腰痛です。

 

慢性的な不調のスタートは、

 

筋膜にストレスがかかる不自然な姿勢を続ける事によるパターンが多いです。

 

筋膜は、

粘度を保つコラーゲンと

弾力を保つエラスチンという、

2種類のタンパク質からできており、

本来は規則正しくガーゼのように綺麗に織られています。

 

しかし、

筋膜にストレスがかかるような

不自然な姿勢を続けていたり、

負荷がかかりすぎたりすると、

筋膜が伸びて変形し、

ぶ厚くなって粘性が増し動きが悪くなります。

 

筋膜の動きが制限されると、

癒着や滑走性の低下を起こしてしまいます。

 

筋膜の滑走性が落ちると、

当然筋肉の動きも悪くなり、

ねじれたり、

よじれたりして、

その結果筋肉も硬くなってしまうのです。

 

まとめると、

筋膜がストレスを受ける

分厚くなって粘性が増す

筋膜の粘性が増す事で滑走性が低下

筋膜の滑走性が落ちると筋肉も動きにくくなる

筋肉が動かないことで血行が滞り、硬くなる

α

筋膜には痛みを感じる自由神経終末が分布しているため、痛みが誘発されることも。

 

猫背や腰の丸まりを直したくても直せないのは、

ボディスーツでもある筋膜が、

不良姿勢を固定化させてしまい、

正しい姿勢を取ろうと思っても筋膜がつっぱってそれを許さないからです。

 

この筋膜の仕組みを逆転の発想でうまく利用して作っているのが、

スピードスケートのボディスーツです。

 

低い前傾姿勢での体幹を安定させ、

推進力を生み出すために、

直立しようとすると突っ張る設計がされています。

 

特に体幹部や太ももにはテンションを高めた素材を配置し、蹴り出し動作をサポートしているそうです。

 

レース後すぐに、

頭を覆っている部分を脱ぎ、

胸元のチャックを下げているのはカッコ良く見せるためだとずっと思っていました。

 

スーツを脱がないと、真っ直ぐ立つのもしんどい位に窮屈だったからなのですね。

 

すみません笑。

 

不自然な力が加わり続け、

一度硬く変形してしまった筋膜は、

なかなか元に戻りにくい性質なのが難点で、

リカバリーには息の長いケアが必要になります。

 

しかし、

筋膜は、

根気良く適切な刺激を与えてあげる事で、

細胞の合成が進み、

健全に再構成(リモデリング)していきます。

 

 

私達が行う指圧は、

親指だけでグイグイと力任せに押すのではなく、

手のひら全体を大きく使い、

点ではなく広い面でじっくりと深い圧をかけていきます。 

 

しわしわのシャツをアイロンがけする際、

アイロンを手早に動かしまくってもなかなかシワは伸びません。

 

アイロンの重さを利用して、

繊維の方向を見ながらゆっくりと同じ箇所を時間をかけてかけるほうが、結果的には早く綺麗にシワが伸びます。

 

筋膜のリリースもそのイメージです。

(アイロンは重くて大きいものが好みです。)

 

もちろん、

ポイントで効かせたい時には親指も使うし、

癒着して動きの悪くなった箇所を剥がしていくように鍼をすることもあれば、

温熱効果を利用する事もあります。

 

筋膜の繋がりに注目した第一人者、

トーマスWマイヤースの著者、

「アナトミートレイン」は、

筋膜の繋がりと東洋医学の経絡の流れが酷似していることにも触れており、

とても面白いですが、

広げすぎたらブログが書き終わらないので今回はやめておきます。

 

 

プロの手によるマッサージや鍼灸はもちろん筋膜ケアに良いですが、

 

日々のご自身によるこまめなリリースやケアがやはり大切なのは言うまでもありません。

 

・筋膜のラインに沿った動的ストレッチを朝イチ行う

・デスクワークの合間にはじっくりと静的ストレッチを、

・夕方には筋トレ要素も加えた動きを、

・就寝前にはリラックスできるゆったりストレッチを。

 

というように1日のルーティーンに筋膜ケアを取り入れるのもおすすめです。

 

凝りのきつい日にはテニスボールやローラーでリリースするのも良いですね。

 

詳しいストレッチの方法やケアについてはまたいつでも聞いてくださいね。

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